過去の傷が今でも痛んで仕方ないあなたへ

 こんにちは。
 演劇コミュニケーションセラピストの山田房江です。

 最近は、「トラウマ=心の傷」と理解している方が増えてきました。
 確かにそれは間違いではありません。

 でも、精神医学で治療対象になるトラウマと、一般的な社会に浸透しているトラウマは、少し違います。

 精神医学上のトラウマとは、簡単に言うと「命の危険(自然災害や戦争など)があったときに受けた心の傷」です。

 これは、ベトナム戦争の米軍帰還兵に多くみられました。実は、太平洋戦争から帰還した日本兵にもみられた症状らしいのですが、特に話題にはなっていないですね。

 そうそう、『アルプスの少女ハイジ』に出てくるハイジのおじいさんも、トラウマがあったと言われています。
 おじいさんが住んでいるスイスには徴兵制度があります。村の人々に「へんくつ」と噂されるようになったのは、徴兵から戻ってからだと聞いたことがあります。

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 精神医学上のトラウマとは別に、長い間に受けた虐待、いじめやDVなど、逃げ場のなかった状態で何度も傷つけられてできた心の傷を、現在では「複雑性トラウマ」と言います。

 こちらもかなり深刻な傷です。

 症状としては、感情のコントロールが難しい、自己否定感が強い、対人関係が上手く結べないなど。ときには慢性的な身体に出る症状(原因不明の痛みなので、病院に行っても対処療法をするしかありません)に苦しむこともあります。

「なんで私は生まれたの……?」
「なんで私を産んだのよ!!」

 そんな悲痛な叫びが聞こえてきます。
 未熟な親は、「あんたなんか産まなきゃよかった」という、子どもの存在自体を否定する残酷なことを平気で言いますし。

 私も親に言われたことがありますが、どんな言い方であろうと、この言葉の爆発力はとてつもない、とだけお伝えしておきます。

 親であるなら、そのへんの分別くらいつけておいてほしい、と言われた側の子どもとしては主張したいですね。

 幼少期にこのような傷を心に刻まれた場合、通常に発達していける身体で生まれたのに、傷が及ぼす影響でうまく発達できなくて、発達障害だ、と知識のない人に勘違いされることも。

 また、複雑性トラウマを負っている方は、ストレス耐性が大人になってから平均よりも低くなる人もいます。

 この複雑性トラウマは、「心に負った傷」という簡単な言葉で片付けられるのは、どうかと思います。

 脳や神経などにもよろしくない影響があるので、もう「身体全体に刻まれた深い傷」と個人的にはとらえています。

 あまりにも深いので、成長して大人になってからも、ちょっとしたタイミングで傷から血が噴き出ることもあるわけです。

 でも、他人にいくら言っても、その傷は見えないので「甘ったれてるんでしょ」「かまってちゃんなの?」などと、心ない言葉を投げつけられ、また傷つくわけで。

 なんだ、無限ループじゃないか。

 この傷の手当の方法とか分からない方は、その多くが過去を思い出して、絶望感に駆られてメンタルを病んでしまうことも。

 中には、自分が痛めつけられた過去をまだ現実のこととして、痛がって泣いていたり。

 じゃあ、どうしていくのがいいのでしょう。
 被害者は、加害者をそう簡単に許せませんしね。

 脳では、辛い体験とそのときに味わった辛い感情を結び付けてしまわれます。
 ふと傷を思い出しただけで、辛かった、苦しかった感情が蘇るのは、そのためです。

 あなたは、自分を傷つけた人を恨んだり復讐する人生と、過去を過去のものとして穏やかに暮らす人生、どちらを選びますか?

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